(:3[kanのメモ帳]

個人ゲーム開発者kan.kikuchiのメモ的技術ブログ。月木更新でUnity関連がメイン。

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本ブログの運営者kan.kikuchiが個人で開発したゲームです!

    

「縦笛なめなめVRをなぜ作ろうと思ったのか」「性的にどうなの?という意見にどう感じているのか」「表現の自由の問題についてどう考えているのか」という質問に開発者が答えました!【雑記】


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はじめに

一ヶ月程前にSteamにVR用専用ゲーム「縦笛なめなめVR」をリリースしたのですが、



リリースしてすぐにVRカテゴリ売上(本数)ランキングで1位になったり、



好評価率90%とかなり良い評価を頂けていたりと、おかげさまで幸先の良いスタートを切れました。

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その「縦笛なめなめVR」がなんと「ABEMA的ニュースショー」という番組に取り上げて頂きました!

1週間のニュースを総ざらい!日曜のお昼にABEMA初のニュースショーが誕生。 世間を騒がせ、話題となっているニュースをあえて「的外れ」な独自の取材と目線でお伝えすることで、世の中で言われている「的(マト)=正義」に疑問を投げかけます。そこから浮かび上がるのは時代の潮流かはたまた?「それ、ニュースと全然関係ないじゃん!」最初の印象は見終わって大きく変わるかもしれません!?鋭いツッコミに定評のある千原ジュニアが、一癖も二癖もあるコメンテーター陣と切り込みます。



実は番組で取り上げてもらえるという連絡は事前にあり、その時に以下のような質問も頂いていました。

  1. なぜこのゲームを作ろうと思ったのですか?どういうシチュエーションで閃いたのか、など具体的エピソードを含めお願いします。
  2. ネット上で「このゲームは性的にどうなのか?」と賛否の声がありますがどう感じていますか?
  3. こう言った作品をクリエーターが制作すると必ず出るのが「表現の自由」の問題ですがどうお考えでしょうか?


上記の通り結構センシティブな質問だったので、気合を入れて書いた所、

4000文字を超える暑苦しい返答になってしまい、さらに蛇足も多分に含んでいたので

一部しか使われないだろうなと思ったのですが、なんと放送では1文字も使われませんでした。


取り上げてはもらえたので、返答が使われなかった事自体は全然良いのですが、

さすがに3,4時間かけて書いた文章が全く使われないのはもったいないので、

今回はその返答をそのまま記事にして再利用しよう!という感じの記事です。

(地味に縦笛なめなめVRのネタバレも含みます)


ちなみに番組でプチ炎上と表現しているのは

以下ツイートにされているの引用RT辺りの事だと思われます。





1.なぜこのゲームを作ろうと思ったのですか?どういうシチュエーションで閃いたのか、など具体的エピソードを含めお願いします。

「縦笛なめなめVR」はパッと思い付いて作ったというより、以下のような流れでじっくり作る内容が固まっていきました。

1.VRゲームを作ろうと決心
2.どんなVRゲームを売れているかの調査、ちょいエロバカゲーを作る事に決定
3.アイディア出し
4.アイディアの選定


まずVRゲームを作った理由については「VRゲーム市場はユーザがそれなりにいるが、大手企業がゲームを投入するほどではない(そこまでのリターンは見込めない)」という、個人ゲーム開発者には理想的な環境だと思っているからです。

もちろんヒットした時の爆発力はスマホやPCの非VRゲームには劣るとは思いますが、そもそもそれらはリリースされるゲームが多過ぎて、認識さえされないという事が非常に多いので、広告を打つ程の資金がない個人開発者には厳しい市場です。

また、開発機材を揃えるという金銭的なハードルや技術的なハードルも高いため、個人開発者のライバルが少ないというのも魅力でした。
さらにスマホゲームと違い基本有料で大丈夫なため、マネタイズ部分を考える必要がない(=ただ面白い物を作るという事に注力すれば良い)というのも、かなり嬉しい点です。


次に実際にVRゲームでどんなゲームが売れているかはSteamのVRカテゴリの売上ランキングを見て調査した所、いくつか売れているジャンルという物がありました。
その中の一つがR-18ほどじゃないけどちょっとHなゲームである「ちょいエロゲー」です。

いくつか売れているジャンルがある中でわざわざこれを選んだのは「人気のジャンルなのに開発者が少ない」という利点からです。
なぜなら、この手のゲームは企業では出しにくい(元々そういうゲームを作っていた場合を除く)ですし、個人で作る場合でも単純に恥ずかしいという心理的な抵抗があります。
自分も「縦笛なめなめVR」を作ると決めるのに相当な勇気がいりました(笑)

また、商品の評価というのは「その商品の良さという絶対的な物」ではなく「買う前の期待値と買った後の満足値の差である相対的な物」だと思っているので、こういう「ちょいエロゲー」や「ふざけているバカみたいなゲーム(いわゆるバカゲー)」はゲームの根本的なシステム部分は期待されておらずゲームの面白さへのハードルが低いはずという予想もありました。
実際にSteamのレビューを見て頂くと分かるのですが「縦笛なめなめVR」はネタの部分だけでなく、ゲームシステム部分も評価して頂けています。
(もちろん面白くなるように色々工夫をして全力で作っていますが)


そしてアイディア出しについてですが、いくらVRゲームが他の市場に比べて認知されやすいとは言え、パンチや引きがあるのに越したことはないので、いわゆる「バズ」が狙えるアイディアを前提としていました。
ちなみにバズったゲームやツイートを調査して、自分なり考えたバズるネタの条件というのが以下の通りです。

「詳しく説明しなくても大勢の人が分かる」
「そのネタについて何か言いたくなる」
「インパクトがある」
「意外性がある」

この条件をもとにちょいエロ(バカ)ゲーのアイディアをいくつも出しました。
ちなみにアイディアの出し方は「上記の条件を満たすなぞなぞの答えを考える」という感じを想像して頂くと分かりやすいかもしれません。


最後にアイディアの中から自分で良さそうだと思う物をいくつか選定し、それを友達が複数人いる所で「こんなゲーム作ってみようかと思うんだけど」という世間話のような感じで話してみました。
これはいわゆるテストマーケティングという物で、自分が考えた成功条件は以下の通りです。

「アイディアを言った瞬間にひと笑い起きる」 = インパクトがある
「短い説明でゲーム内容を理解してもらえる」 = 詳しく説明しなくても大勢の人が分かる
「自分が話を積極的に進めなくても友人同士が勝手に盛り上がってくれる」= そのネタについて何か言いたくなる

この際に一番反応が良かったのが「学校で女の子に見つからないようにリコーダーを舐めるVRゲーム」というアイディアだったので、これに決定しました。
ちなみに「縦笛なめなめVR」というタイトルもその時に決まりました。


2.ネット上で「このゲームは性的にどうなのか?」と賛否の声がありますがどう感じていますか?

リリース前からこの手の心配はあったのですが、色々悩んだ末におそらく大丈夫だろうという結論に至りました。
その根拠は以下の通りです。

「実在している特定の個人や人種を対象にしているわけではない」
「ゲーム内の女の子を一方的に貶めるのが目的じゃない」 = 女の子の行動がかなり異常(前述したバズるネタの条件である「意外性がある」というのにも繋がります)
「VRゲームのユーザのほとんどは大人」 = 小さい子供にはVR自体が脳や目の負担になるため&機材にお金がかかるため
「行為自体を推奨しているわけではない」 = ゲーム中、女の子に見つかると罵倒されて暴力を振るわれてゲームオーバーになるため

さらに、これはそういう性的欲求を満たすのが主目的ではなく(そういう人がいるかもしれないというのは否定しませんが)、単純にふざけたネタだと分かるように「陰湿でエロティック」な感じではなく「ポップで馬鹿げてる」ようなイメージになるように作っていますし、ゲームをやると明らかに女の子の同意を得て縦笛を舐めているというのが分かるようになっています。
余談ですが、裏設定的には「女の子の暇潰しに付き合わされているプレイヤーが、縦笛などを隠れて舐めるゲームをさせられている」のですが、その伏線やヒントが下手だったようでおそらく多くの人に気付いてもらえてないです(笑)


とは言え、リリースした後は確かに「このゲームは性的にどうなのか?」という方向性の意見も頂いたのですが、これも自分の中では許容範囲内でした。
その理由としては「そういう意見を出している方のほとんどが、この件に関わらず常に何かに攻撃をしている人」だったからです。

そういう方々は本人が意識しているかしていないかに関わらず「攻撃する事そのものが目的」であり、「何かの問題を解決をしようとしている」「何かを良い方向にしようとしている」行動をしているわけではない(出来ていない)ため、まともに相手をしても意味はないというのが持論です。

一応「攻撃する事そのものが目的」の人かどうか、自分が判断する基準は
「ある事柄に否定的な意見しか言わない」
「特に根拠もなく(もしくは根拠を捏造して)断定する」
「馬鹿や死ねなど、より攻撃的な単語を好んで使う」
等があります。


ちなみにPVでも見られる「女の子のキャラクターからプレイヤーへ行われる罵倒や暴力」についての批判、または女の子を男の子に変えて「男の子の縦笛などを舐めるという追加コンテンツ」に対してこういった批判は今の所一つも来ていません。


3.こう言った作品をクリエーターが制作すると必ず出るのが「表現の自由」の問題ですがどうお考えでしょうか?

まず曖昧かつ複雑な問題なので「時と場合による」という事が大前提だと考えています。
また、前述の通り「攻撃する事そのものが目的」の人がこういった問題提起をしていても特に相手をする必要がないとも考えます。

その前提のもと、「その作品自体が法や権利に反していない」というのは当たり前として、前述の通り
「実在している特定の個人や人種を対象にしているわけではない」
「違法行為の表現があったとしても、行為自体を推奨しているわけではない」
であれば基本的には何でも大丈夫だと思います。

なぜかと言えば安易に規制してしまうと多様性が失われ、新しい物が減り、発展する可能性が損なわれるからです。
これは「縦笛なめなめVR」自体が重要という意味ではなく、何がどう影響するか分からないので、文字通り多様な作品を市場(個人ではなく)は許容した方が良いという感じです。


もちろん、作品を否定や批判するのも自由ではありますが、常識的な範囲を超えて業務妨害や脅迫行為に該当する程になってしまうとアウトです。
※念の為、自分はそういった被害には今の所はあっていません。

なお、この手の問題に付き物なのが「良(善)いからOK、悪いからアウト」といった基準ですが、これは主観でしかないので判断の基準にすべきではないと思います。
他にも「子供に悪影響だからダメ」というのもこの手の話の常套句ですが、何がどう影響するかは人や環境によって異なるため、本当に「子供に悪影響を及ぼす可能性のある物」を規制しようとするほとんど全ての物が該当してしまうので、明確な証拠がない限りはこれも判断の基準にするのは難しいと思います。


おわりに

本記事は以上で終わりですが、ある程度してデータが貯まってきたら「札束風呂VR」の時のように



売上や開発費&時間(+開発にあたっての工夫や知見)を

まとめたを書こうと思っているので、そちらもご期待ください!