(:3[kanのメモ帳]

個人ゲーム開発者kan.kikuchiのメモ的技術ブログ。月木更新でUnity関連がメイン。

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Unity系ゲームクリエイターがUEFN(Unreal Editor for Fortnite)でゲームを作ってみた感じた良い点悪い点、収益、UEFNがオススメな人【UEFN】


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この記事でのバージョン
Unreal Editor for Fortnite(UEFN) 25.20


はじめに

いつもはUnityでゲームを作っているのですが、

UEの勉強も兼ねてUEFN(Unreal Editor for Fortnite)でゲームを作ってみました!



そして今回は、実際にUEFNを使ってみた感じた良い点悪い点をまとめてみた感じの記事です!

ついでに気になる収益に関する話や、UEFNがオススメな人なんかも書いています。


目次


そもそもUEFN(Unreal Editor for Fortnite)とは

一応、UEFNについての説明からですが、以下の通りフォートナイト上でゲームを作るためのツールです。

(正確にはゲームではなく島だが、本記事では分かりやすいようにゲームに統一)

「Unreal Editor For Fortnite(以下、UEFN)」は、フォートナイトのクリエイティブモードを拡張するかたちで登場した完全無料のPC向けゲーム制作ツールです。UEFNを使えば、フォートナイト上で動くゲームを、AAAタイトル開発などで使われるゲームエンジンのアンリアルエンジンに近い操作で開発できるようになります。


UEFNで開発したゲームはフォートナイト上で公開でき、

ユーザは無料で遊べますし課金要素も広告もありません(そもそも付けられない)。


しかも開発サイドも収益を得ることが可能で、

島を公開してフォートナイトの発展に貢献した開発者は、メリットを受け取れます。GDC で発表されたように、クリエイター エコノミー 2.0 ではエンゲージメントに応じた支払いが行われ、資格のある島クリエイターは公開後の島のコンテンツへのエンゲージメントに基づく配当を受け取ることができます。

エンゲージメント配当は、​​フォートナイト​​のアイテム ショップと、島や体験 (独立系クリエイターと、バトルロイヤルなどの Epic 独自のコンテンツの両方の島) のクリエイター間で行われているほとんどの​​フォートナイト​​のリアルマネー取引から純収入の 40% が按分して支払われます。


年間収益(概算)が1000万ドルに達する開発者が出てきており、

個人開発はもちろん企業として参入している所も出始めている、最近ホットなプラットフォームです。

https://create.fortnite.com/news/fortnite-engagement-payout-update?isWelcome=true&team=personal


UEFNの良い点

まずはUEFNの良い点からです。もちろん完全に主観かつ現時点(UEFN25.20)での話なのであしからず。


簡単にゲームが作れる

基本はフォートナイトのシステムをベースに作るので、

キャラやカメラ操作、体力やマップ機能、マッチングや同期処理、各種ギミックなどなど

基本実装みたいな所は最初から用意されています。


また、フォートナイトに登場する3Dモデルが使えたり、

音源やエフェクトもある程度は用意されているので、簡単にゲームが作れます。


実際、「Don't Touch Red!!」も開発期間2週間程(実働は約1週間)という短期間で作れました。


無料でゲームが作れる、サーバー代もかからないし負荷も気にしなくていい

フォートナイト上でゲームを公開するのにお金は必要ありませんし、

マルチプレイのゲームでもサーバー代はかかりません

さらに人が増えても自動でいい感じにしてくれるので、負荷回りを気にする必要もないです。


「バズってめっちゃ人きたら(費用的、負荷的に)どうしよう」みたいな悩みがないのは地味に嬉しいです。


色々なプラットフォームで遊べるゲームが作れて、ユーザも多い

UEFNで作ったゲームはフォートナイトと同様に、PCや家庭用ゲーム機、スマホでも遊べますし、

フォートナイトは月間アクティブユーザーが7000万人もいるらしいので、対象ユーザもかなり多いです。


収益化出来るのに、ユーザは無料で遊べて広告を見せたり課金を迫る必要がない

最初の説明の通り、UEFNで作ったゲームは収益化が出来ます。

しかもユーザは無料で遊べるのに、広告を見せたり課金をしてもらう必要はありません。


なので無料スマホアプリのようにゲームの面白さ×収益性のような複雑さはありませんし、

PCや家庭用ゲームのように値段の相場や割引(率、タイミング)について考える必要もありません。


ユーザーがフォートナイトの自キャラを使ってゲームが出来る

ゲームにおいてユーザーが操作するキャラクターを魅力的にするというのは大事ですが、

UEFNに作ったゲームは基本的にフォートナイトで使ってるキャラがそのまま表示されます。


なので、開発側が何も用意せずとも、ユーザが何も設定せずとも

最初からユーザの好きな見た目でゲームが出来るというのも嬉しい点です。


特に多人数が参加するゲームの場合は色々なバリエーションを用意する必要があって大変ですからね。


重くなりにくい、自動で端末ごとに最適化してくれる

「Don't Touch Red!!」では無計画に3Dモデルやリアルタイムのライト(影付き)を多数配置し、

ポストプロセスも反映しているのに最適化作業が必要なかったぐらい、重くなりにくいです。


また、Switch等の比較的低スペックの端末でも重くならないように見た目を自動で最適化してくれます。


実機でのテストプレイしやすい

開発中のゲームはフォートナイト上で動かすので、常にほぼ実際の状態でテストプレイが出来ます。

また、他のユーザをリリース前のゲームに呼ぶ事も簡単に出来ますし、

Switch等のPC以外の端末でもテストプレイ出来るので、テストプレイはやりやすいです。


見た目を綺麗にしやすい

ライティングやシェーダー等、特に何もせずともフォートナイトのような見た目になるので、

見た目を綺麗にしやすいですし、ポストプロセスも簡単に設定出来ます。


リプレイ機能でスクショやPVの作成が楽

フォートナイトにはリプレイというゲームのプレイを確認出来る機能があります。

しかも普通の録画ではなく、視点の位置や角度等を変えられる再現機能のようなものなので、

自分のゲームの宣伝用の画像や動画を作る際に物凄く役立ちます。


リリース作業が楽、審査も早い

ゲーム完成後、他のプラットフォームに比べてリリースするための作業が少なく

審査に必要なのも画像1枚(動画は任意)と説明ぐらいと楽です。


また、審査も早く、自分の場合は十数分〜1時間ぐらいしかかかりませんでした。


公式ドキュメントやニュースが日本語対応している

UEFNに関する公式のドキュメントや最新のニュースが基本的に日本語に対応してるので、

公式の情報を正確に得やすいというのも開発者としては嬉しい点です。


フォートナイト上のゲーム自体がまだまだ少ない

フォートナイト上のゲームはまだまだ少なく、スマホアプリやSteamのように飽和してないので

それらと比べて遊んでもらえる可能性が高いというのも大きな利点です。


UEFNの悪い点

次にUEFNの悪い点です。こちらも完全に主観かつ現時点(UEFN25.20)での話なのであしからず。

UE5とは別物

これは悪い点というより自分の勘違いなのですが、

UEFNはUnreal EngineベースではありますがUE5とは別物です。


もちろん見た目も機能も似ているのですが、片方にはあってもう片方にはない機能も多く、

特にUEFNは機能が足りてないので、おそらくまだUEの勉強には向いてない感じでした。


独自言語のVerseを使う必要があり、制限も多い

UEFNではVerseというEpic Gamesオリジナルの言語を使う必要があります。

(使わなくてもゲームは作れるがより制限が増す)


オリジナルという事は使えるようになっても現状他で使う機会はありませんし、

そもそも使ってる人が少ない = 情報も少ないので学習コストも結構高いです。


さらにVerseは補完(IntelliSense)がほとんど効かないため、コードを書くのも一苦労です。

(GitHub CopilotもVerseに関するデータが無いのかほとんど機能しない)


また、ユーザ名が取得が出来なかったり、データの永続化(保存)機能もなかったり

Verseに関わらず、かなり制限も多い印象です。


UEFNに関する情報が少ない

まだまだ始まったばかりという事でUEFNに関する情報は(英語でも)非常に少ないので、

困った時に調べて解決するというのが大変です。


また、色々な意味でUnreal Engineと似ているせいで情報が混在するという問題もあります。


バグが多い

ベータ版という事でしょうがないのですが、バグもまだまだ多い印象で、

再起動したら直ったみたいな事も多々あります。


さらに情報が少ない事と合わさって、仕様かバグか分からない事も結構出てきたりします。


再生(ビルド?)が遅い

毎回フェートナイト上で再生する必要があるので、

変更を加えてそれを実際の画面で確認出来るまでに結構時間がかかります。

なのでちょっと修正して確認、さらに修正して確認、みたいな調整フェーズは大変です。


Macでは開発が出来ない

例のAppleとEpicのいざこざの影響か、UEFNはMacには対応していません。

またフォートナイト自体もMacというかApple製品では基本遊べない(GeForceNOW経由なら遊べる)ので、

Apple製品ユーザだと相性が悪かったりします。


アップデート通知がない、アップデート情報を書く場所も無い

ゲームをリリースした後、アップデートは簡単に出来ますが、

アップデートした事やその内容をユーザに直接通知する方法はありません。


なのでDiscordやTwitter等の他の場所で通知するしかなく、

そもそも熱量の高いユーザにしかアップデートを伝える事が出来ません。


つまりリリース時に大きなバグがあったりバランスが悪くてコケた場合、

アップデートで良くしてユーザを増やす(またプレイしてもらう)みたいなのは、

開発者の宣伝力(広報力?)が相当ない限り難易度が高そうでした。


ストアの検索性が悪く、評価も分からないためゲームを探しにくい

フォートナイト上からは文字列によるゲームの検索は出来ず、

またゲーム自体の評価やレビュー、遊んだ人の総数等の表示も無いため、

ゲームを探しようがない状態というのも厳しいです。


解析情報が少ない

リリースしたゲームに関して得られる情報がアクティブなプレイヤー数、平均プレイ時間、

翌日の継続率ぐらいしかないため、分析や改善が難しいのもマイナスポイントです。


収益

続いて収益についてですが、最初にちょっと説明した通り、

フォートナイトの売上の40%がゲームを作った人達に分配される形です。


そもそも自分はまだ収益が入ってきたわけではないので、

詳しくは分かりませんが収益の目安は以下のような感じらしいです。

■UEFNのおおよその収益
プレイ時間10分のマップで1プレイ1円
プレイ時間20分のマップで1プレイ2円ほどになるようです。
※今後変動する可能性大


遊ばれるほど収益も増えるという分かりやすい構造で、

10分1円というのは個人的には思ってたより高い印象です。


ただし、総プレイ時間(プレイ回数×平均プレイ時間)が増えるより

一人当たりのプレイ時間が増える方が収益が上がるらしいです。



ちなみに具体的な数値での収益公開について規約での言及箇所は見つけられませんでしたが、

おそらくダメっぽいので、今後も公開は出来なさそうです。

一応参考にDon't Touch Red!!の平均プレイ時間は20分程総プレイ回数は2万を超えているぐらいです。


UEFNがオススメな人

最後に個人的にUEFNでゲームを作るのがオススメな人です。

当たり前ですがゲームを作りたいという気持ちがあるのは大前提です。


フォートナイトが好きな人

自分の好きなゲーム上で自分の作品が作れるというのはそうある事ではないと思うので、

フォートナイトが好きな人には最高の開発環境だと思います。


3Dモデリングが得意な人、世界観を表現したい人

フォートナイトのプレイヤーキャラや3Dモデルがそのまま使えるという事は、

差別化という意味ではオリジナルの3Dモデルを使った方が良いです。

なので3Dモデリングが得意な人にも向いてるプラットフォームだと思います。


また、フォートナイト上ではゲーム以外も公開出来るので、



世界観を表現したい人にもオススメです。(3Dモデルの個展みたいにも使えるかも)

3Dモデルを作っても、普通はその中を複数人で自由に歩けるようにするみたいな実装は大変ですし、

他のプラットフォームと違って楽な申請で色々な端末で見られるように出来るのは魅力だと思います。


マルチ対戦(協力)のゲームを簡単に作りたい人

Photon等のサービスのおかげでマルチ系のゲームは作りやすくなったとは言え、

まだまだ作るのは大変です。(特に非エンジニアには)


なのでマルチのゲーム、特に100人対戦のような大規模なものを簡単に作りたい場合

そこら辺を料金込みでまるっと吸収してくれるのでオススメです。


プログラムやモデリング等、ゲーム開発関係が完全に始めてな人?

プログラム無しでもゲームを作れて、モデルも高クオリティなものが使え、申請作業も周りも楽なので

ゲーム開発関係の経験が全く無いという人が最初に使う環境としても良い気はするんですが、

記事内であった通り関連情報は少ないので、オススメ出来るようで微妙なラインかもしれません。