(:3[kanのメモ帳]

個人ゲーム開発者kan.kikuchiのメモ的技術ブログ。月木更新でUnity関連がメイン。

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本ブログの運営者kan.kikuchiが個人で開発したゲームです!


売れるインディーゲームだけ作りたい:ゲームコンセプトのプレトタイプでヒットを事前に見極める【ゲーム企画】【Steam】


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はじめに

個人的にインディーゲームを『開発する側の良さ』というのはとにかく自由だということだと思っています。


好きなジャンルを作っても良いし、流行りのジャンルを作っても良い。
ひたすらこだわっても良いし、どこかで見切りをつけても良い。
採算度外視しても良いし、売上重視で考えても良い。
大作に挑戦したって良いし、1日で完成目指したって良い。
誰かに意見をもらっても良いし、自分の考えだけで作っても良い。


誰にも邪魔されず、会社の承認も必要とせず、自分が好きなようにゲームが作れるというのは物凄く大変ではありますが、本当に楽しい事だと思います。


ただ、僕自身はせっかく作るのだから売れたいです。
もっと言えば売れるゲームだけ作りたいです。


もちろん理想は自分が面白いと思うゲームを好きなように作って、それがヒットするという形ですが、残念ながらそれを愚直に信じて実行できないぐらいには失敗も年も重ねてきたので、
「自分は面白いし売れると思って作ったけど、いざリリースしてみたら全然反響ないし売れなかった」
というよくある(というより大多数の)悲劇を出来る限り避けたいです。


今回はそんな
「インディーゲームを作ってる(作りたい)けど、売上にもこだわりたい」
「作り始める前に売れる可能性があるか知りたい」
という方の参考になるかもしれない方法の紹介です!


ゲームコンセプトのプレトタイプ

その方法というのが、ゲームの開発を始める前に「ゲームコンセプトのプレトタイプ」を作って世間の反応を確かめ、売れそうなコンセプトだと確認できたら開発を始めるというものです。


なお、プレトタイプというの誤字ではなく、以下の本に出てくる造語です。
勉強になるだけでなく普通に面白いので、一度読んでみる事をオススメします。



ざっくり言うとプレトタイプとは
「アイデアが市場で受け入れられるかを、最小限のコストで検証する手法」
の事です。


いわゆるプロトタイプと呼ばれるモノのように最低限動作するものを作るのではなく、アイディアを評価するのに必要な最小限のモノや状況を作るという事です。
つまり、ゲームで言えばある程度動作する体験版やデモでテストするのではなく、スクショや動画だけを先行して作って検証するといった感じ。


そして検証の方法も大事で、ただアンケートや反応を見るのではなく、ユーザーが実際にコストを支払ってくれるか(身銭を切ってくれるか)が重要です。
コストはお金はもちろん、時間でも良いですし、本の中だとメルアドなんてパターンもありました。


そして都合の良い事に、Steamには『ウィッシュリスト登録』という分かりやすいコストがあります。(リリースされると通知が飛ぶため、メルアド登録と同価値だと考えられる)


つまり、
「ゲームを作りはじめる前にスクショや動画を先行して作り、Steamのストアページを公開し、ウィッシュリストが集まれば本開発をする」
という方法です。



なお、リリース時のウィッシュリスト数から売上の予測というのも可能なので、目標の売上から目標のウィッシュリスト数も逆算出来ます。




具体的には目標売上本数(1年)の25%~50%ぐらい欲しい感じです。(公開されている色々なデータや自分の経験則から)
つまり1万本売りたければ、ウィッシュリストが2500~5000ぐらいは必要になってきます。
ただし、これはリリースまでに必要な数なのでプレトタイプ段階ではもっと少ない値で大丈夫です。



この方法であれば時間は最小限で済みますし、確度高めの検証が出来ます。
ただ、実際に以前VRゲームでこの手法をやっていたのですが、問題がありました。

(↓はウィッシュリスト的には上手くいったが、規模が多くなりすぎたのとVR熱が冷めたために凍結中のゲーム、いつか完成させたい……)



それはSteamのストアページは自由に非公開に出来ないという事です。
つまり、「ウィッシュリスト集まらなかったから消そう」というのが出来ず、一向にリリースされないページだけが増えていくという事です。


直接的な害があるわけではないですが、印象は良くないと思うので出来れば避けたい所です。
一応、運営に問い合わせて消してもらう事は可能ですが、あまりやり過ぎるとスパムだと思われてしまう危険性もあるので気軽には出来ません。


他にもストアページ公開の準備や審査に時間がかかったり、ストアページ公開の度に100ドルかかったりと、数をこなそうとすると結構足枷になる要素があります。


なので、Steamのストアページ公開前にTwitter(現X)で反応を見るという段階を加えるというのがオススメです。


具体的にには「Twitterでゲームコンセプトだけを投稿し、〇〇RTされたらSteamのストアのページを作る」という感じ。


プレトタイプ的にはTwitterの反応だけでは検証が不十分(身銭を切っていない)なので、プレトタイプのさらに前段階みたいな物ですが、これでSteamのストアページ公開までいける物はグッと少なくなるはずです。


実際に試した結果

次に実際に試した結果です。


本当は目標値を越えるまで何個もテストする予定でしたが、なんと一発で目標値をクリアしてしまいました。
それが【孤独なインディーゲーム開発者の一生】です。




目標としては最低でも200RT、出来れば500RT(なんとなくの感覚値)で考えていましたが、最終的に600RTまで行きました。


さらにコンセプト段階で記事にしてもらったり、引用RTなどの反響も多かったです。



その後Steamにストアページを公開し、ウィッシュリストは初日に約500件、現在は約2000件になっていて、個人的には十分な推移だと思っているので、本開発を進めています。





ゲームコンセプトの作り方

一応ゲームコンセプトの作り方についても紹介しておくと、
「こういうゲームがあったら面白そうじゃない?」
という物を考える感じです。


この『面白そう』というのが大事で、この段階では『面白い』はあまり重視しません。(そもそもまだゲーム作ってないので『面白い』かはよく分からない状態)


つまり画像や動画、テキストを見て面白そうと思えるかに重点を置き、細かい仕様を考える必要はまだないということです。


そもそも、ゲームというのは遊んでみるまで『面白い』かどうかは分からず、『面白そう』かどうかで買うかが決まるので、『面白い』と同じぐらい『面白そう』が大事になります。


ゲームコンセプトのプレトタイプではその『面白そう』を検証するという事でもあります。



もちろん、『面白そう』というのは『面白い』と同様に人それぞれの感覚で、発案者の自分だけが『面白そう』と思ってるだけの場合もよくあるため、これは色々試してみるしかありません。(というより、そのためのプレトタイプ)


ちなみに【孤独なインディーゲーム開発者の一生】の場合は、自分が好きな経営シミュレーション等の『お金を稼ぐゲーム』に、同じく自分が好きな要素である『辛さ』を足してみようという発想から生まれたものです。


会社経営してゲームを作り、お金を稼ぐゲームというの色々ありますし、



インディーゲーム開発(者)をテーマにしたゲームもありますが、



自分が調べた感じだと「個人でインディーゲームを作ってお金を稼ぐゲーム」というのは見当たらなく、そういう新しさという点でも採用を決めました。



次にゲームコンセプトをテストする段階になったら画像を作る事をオススメします。
文字だけで面白さを伝えられれば最高ですが、それは極端に難易度を上げてしまいますし、動画は作る側も見る側もコストが高くなってしまいます。
また、Steamのストアページを公開するにもスクリーンショットが必要なので、実際のゲーム画面を作るようなイメージで面白そうな画像を作りましょう。


さらにゲームタイトルや説明のテキストも重要です。
ただ、淡々とゲーム内容を伝えるのではなく、自分が『面白そう』だと思ってる事をより強調できるように工夫する必要があります。


例えば【孤独なインディーゲーム開発者の一生】の場合は、【インディーゲーム開発者シミュレーション】にしてもおかしくありませんが、『辛さ』は無くなってしまいます。
『辛さ』を強調するための『孤独』『一生』という事です。



他にもゲーム説明のテキストも『辛さ』を増す方向で考えています。

「死ぬまでにあと何本作れるだろう」
「え、もうこんな年齢?」

主人公は年を取ります、いずれ死にます
友達は出来ません、結婚も出来ません


普通「友達は出来ません、結婚も出来ません」みたいにゲーム内で出来ない事をわざわざ書く必要なんて無いですよね。『辛さ』を強調する目的があるからこそです。


おわりに

最初に述べた通り、インディーゲーム開発の良さは自由な所だと思っているので、今回紹介したような手法だって可能なわけです。
もしこれが企業であれば、外部にゲームコンセプトだけ公開して、ダメなら作らないなんて事はまず出来ません。



ただし、たとえウィッシュリストが増えたとしても必ず売れるわけではなく、あくまで売れる可能性が高まるだけという点には注意が必要です。





また、最初の売上は『面白そう』が強く影響しますが、その後は実際に遊んだユーザーの評価、つまり『面白い』かの影響が強くなってくるので、当然『面白い』ゲームを作る努力も必要です。


そして、『面白そう』なゲームコンセプトが出来たとしてもそれを『面白い』ゲームにするのはまた別の話で、そこの大変さは結局変わりません。


まぁ方針が定まっているので作りやすくはありますし、売れる可能性が高いという事がモチベーションにも繋がるので、『面白い』ゲームを作るという意味でもプラスにはなると思います。



そんなこんなで現在は『面白い』ゲームになるように鋭意製作中です!
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